インサイトの生産中止をようやく公表か・・・

ホンダのアメリカ法人がハイブリッド車「インサイト」について「2014年夏に生産を打ち切る」と発表した。
「インサイト」の生産中止は先月中から噂になっていたがようやく認めた形だ。
1999年に発表された初代は新開発の3気筒1Lエンジンにホンダ独自のハイブリッドシステム「IMA」を搭載し、軽量化のためのアルミボディ(一部樹脂製)を採用するなどして低燃費(5MT車で10・15モード35.0Km/L)を実現。
軽量化のために乗車定員を2名とした(リアシートが不要)こともあり、車重は今の軽自動車並みの820Kgしか無かった。
ただし専用設計の部品が多くコストが掛かり過ぎ、1Lの2シーターとしては高価(5MT車で210万円、CVT車で218万円)な車となり販売は振るわなかった。
それでも当時は「売れば売るだけ赤字」と言われたくらいだから、一体どれだけコストを掛けたのやら・・・
この初代は2006年まで販売されたが結局のところモデルチェンジをせずに一度生産終了の憂き目をみている。

現在販売されている2代目は初代の生産終了後2年余り後の2009年2月に発売され、2ヵ月後の2009年4月には10,481台を売り上げハイブリッド車初となる月間販売台数トップの座を獲得。
ところが販売台数が目標(月間5,000台)を上回ったのは発売の年の4月から12月までと翌年の3月だけで、トヨタがライバルのプリウスを2009年5月にフルモデルチェンジをして発売するとあっという間に販売台数は逆転し、後は差が開くだけとなってしまった。
#これはトヨタが「プリウス」の価格をかなり低く設定した販売戦略によるところも大きい。
その後販売のてこ入れ策として1.5Lエンジンを搭載したエクスクルーシブを追加したり、評判の悪かった後席の天井の低さを補うためにリアシートと天井の形状を見直すなどしたが、販売が上向くことも無く2012年4月以降の国内での月間販売台数は常に3桁という状況。
似たような形状で決して後席のスペースが広いとは言えないプリウスが常に1万台以上(αを含むが)販売しているのとは対照的だ。
ということでホンダとしても売れない車を作り続けるわけにもいかないという状況になってしまったということか。
ホンダはこの「インサイト」の様に先進的な車を出すことがあるが、なかなか後が続かないことが多い。
「インサイト」も初代と2台目には共通点が殆ど無く、せいぜい搭載するハイブリッドシステムがホンダ独自の1モーターIMAであること程度で、モデルチェンジと言うよりは新型ハイブリッド車に初めて出したハイブリッド車の車名を引き継がせただけと言える。

「インサイト」と同じように販売不振(国内の月間販売台数は2桁と3桁を行ったりきたり)のCR-Zはヨーロッパでの販売を終了すると発表されているが、日本国内を始めとする他の地域では販売は継続するとのこと。
これはハイブリッドのスポーツカー(と言ってよいのかはこの際おいといて)の灯は消したくないというホンダの意思表示か。
来年になればハイブリッドスポーツカーのフラッグシップとなる新生「NSX」が発売される予定だが、価格は1,500万円超とも噂されているので庶民には手が届かない(だからフラッグシップなのだろうけど)。
つまり庶民が購入出来るハイブリッド搭載の量産スポーツカーはしばらくの間CR-Zのみということになるが、そこに存在意義があるのだろう(GT300にも参戦しているし)。

ホンダは一般的なハイブリッド車は下は「フィット」「フィットシャトル」「フリードハイブリッド」に、ミドルクラスは「アコードハイブリッド」、上級サルーンには新型の「レジェンド(未発売だがもうじき発売が予定されている)」を置き、この内旧型のハイブリッドシステムを搭載する「フィットシャトル」と「フリードハイブリッド」は今年後半から来年にかけてフルモデルチェンジし、それぞれ販売の核として行くと思われる。
さらに今年後半にフルモデルチェンジが予定されている「ステップワゴン」にも「アコード」と同じ2モーターのハイブリッドシステムが搭載される可能性が高く、そうなるとモデルチェンジしたばかりの「ノア」「ヴォクシー」のハイブリッドと良い勝負をすると思われる。

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