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ベテルギウスの変光が止まった?

オリオン座の一等星ベテルギウス(向かって左の肩の星)が2020年の2月に1.6等級まで暗くなり話題になった。
もともと400日周期で0.0等級から1.3等級の間で変光する変光星ではあるが、ここまで暗くなるのは珍しく当時は超新星爆発の前触れではないか?なんていう話も出ていたほど。
後にこの大減光は大量の塵を放出し、その塵で本体の光が遮られたのではないかという説が出ている。
その後は200日周期で変光をくりかえしつつ明るくなってきており、一時は0.2等級まで明るくなったものの、観測不能な期間(6-8月)以降は0.5等級ほどで安定しているとのこと。
これが何を意味しているのか、またその理由は何かは判っていないので、今後の光度変化に注目かな。
今朝5過ぎにオリオン座を観た時は0.2等級のリゲルに比べて結構暗かったように見えたな。

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「ベテルギウス」の直径が40年前の2~3倍に?

北見工大等が参加しているチームが赤色超巨星「ベテルギウス」(オリオン座の左上の赤い星)の直径が1970-80年代に観測された時の2倍から3倍程度に膨張しているらしいという観測結果を発表した。
赤色超巨星であるベテルギウス(直径が7億キロ前後で木星の公転半径に近い)はいつ超新星爆発を起こしても不思議では無いと言われているが、今回の観測結果はそれを裏付けるものでも無く、膨張した(と見えた)原因も今のところ不明とのこと。
今回の観測では特定の波長(ほぼ緑色の領域)で膨張して見えたということで、この波長域では酸化チタンが放出するスペクトルが観測できるので、恒星内部で生成された酸化チタンが外部に向かって放出されているのでは無いだろうかと思われる。
酸化チタンのもとになるチタン(原子番号22)が精製されるのは恒星の一生の中でも後期でしかも生成されるのは中心部近くなので、それが表面で観測されたということはベテルギウスがその一生を終えるのも遠くないということか。

もし超新星爆発を起こせばその姿は地球からも良く見えることになるが、一時期懸念されていた「ガンマ線バースト(超新星爆発時に一時的に大量に放出されるガンマ線)」による地球への影響(生命の滅亡等)はあまり心配しなくても良さそう。
というのは超新星爆発時のガンマ線バーストが放出されるのは恒星の自転軸から2度の範囲内であることが理論上判っており(ただし実証例等の根拠は希薄だが)、ベテルギウスの自転軸はハッブル望遠鏡の観測で太陽系方向から20度ほど離れていることが判っているため。

1054年に観測された超新星SN1054(かに星雲の中心部にあるパルサーが誕生した時の超新星で爆発時の光度は-6等と推定されている)に比べると太陽系からの距離がおよそ1/10以下の約640光年と近いので、もし爆発時の光度が同程度だとすると、地球では100倍以上の明るさに見えることになり、その等級は-11等級で半月よりも明るく、爆発直後の数日間は昼間でも見えることが予想される。
もし爆発が夏に起これば昼間に見えることになり、冬に起きれば夜が多少明るくなるかもしれないな。
こんな太陽系の近所で起こる超新星爆発は滅多に無い(銀河系内では100年から200年に一回、観測できる宇宙全体では30秒に一回と言われている)ので、出来ることなら見てみたい気もするけど、私が生きている内に見ることが出来るだろうか?

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