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気象衛星で天体を観測?

2019年の10月頃から2020年の初めにかけてオリオン座のα星である「ベテルギウス」が暗くなり、一時は二等星に”格下げ”になったことがある。
この”大減光”の原因はその後の観測と研究で表面温度の低下が原因の半分と判明し、残りの半分は放出された塵によるものと推測されたが、思わぬ方法で裏付けとなるデータが取得された。
その”思わぬ方法”とは、本来気象観測用に打ち上げられ実際に運用されている気象観測衛星「ひまわり8号」を利用するというもの。
具体的には地球の半球を10分毎に撮影している画像に写り込んだ「ベテルギウス」の明るさを測定したもの。
研究者チームは4年半分に当たる20万枚以上の画像を調べたところ1,000枚ほどに「ベテルギウス」が写り込んでいたとのこと。
「ひまわり8号」では地上や衛星軌道上の天体望遠鏡では継続的に取得することが難しい波長(中間赤外線:周辺に放出された低温の塵が放射する波長10μm周辺)のデータが取得できた。
撮影されたデータを解析したところ、大減光時にはこの波長の光が多く捉えられており塵が増えていることが裏付けられたとのことだ。
”普通の”天文学者では思いつかない「気象衛星を天体望遠鏡として利用する」というアイデアが凄いし、そのアイデアを活かして研究成果を出してしまったことも素晴らしいと思う。
今後もこのような斬新なアイデアが生まれて活かされると素晴らしいね!

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ひまわり8号の打ち上げ成功!

気象観測衛星「ひまわり8号」は今日(10/7)の14時16分に予定通り種子島の宇宙センターからH2Aロケットにて打ち上げられ、およそ30分後の2段目の2回目の燃焼終了後に予定通り2段目との分離が行われ地球周回軌道への投入が成功したことで無事打ち上げ成功となった。
切り離し時の対地速度は秒速およそ9.4Km、高度はおよそ266Kmだった。
これでH2Aは7号機から連続19回打ち上げ成功となり、成功率は24/25の96%となった。

今後ひまわり8号は太平洋上の静止軌道に遷移し、各種試験を行った後に来年度から運用が始まる予定。
今までのひまわりに比べると段違いに向上した観測能力で気象データを集めることが可能となり、より精度の高い予報がされることが期待される。

個人的には今までの擬似カラー映像では無い、(RGB各要素の合成とはいえ)本物のカラー映像がどんなものかが楽しみだ。

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「ひまわり8号」公開

気象観測衛星「ひまわり7号」の後継機として10月に打ち上げが予定されている「ひまわり8号」が報道機関に公開された。
そのニュース記事によると
「運用中の同7号に比べデータ量が約50倍になるなど観測機能が強化され」
と書かれているが、実際に50倍になるのはなんなのか具体的には書かれていない。
気象庁から発表されている資料を見ると、観測用センサーの解像度が2倍に向上し、撮影間隔を30分から10分に短縮し、撮影するバンド(波長帯)数も7号の可視1バンド(モノクロ)・赤外4バンドの合計5バンドから可視3バンド・近赤外3バンド・赤外10バンドの合計16バンドに増え、さらに特定エリア(日本付近)を2.5分間隔で撮影するとのことなので、撮影で得られるデータ量が50倍になっていると思われる。
さらにこの増大したデータを地上局に送るための通信能力も強化していることになる。
文字数の制限があるのだろうが、単に「データ量が50倍」と書かれてもなんのことか良く解らないよな。

さらに8号は先にも書いたように可視3バンドでの撮影が可能で、それぞれの中心波長がRGBに相当するので合成する事でカラー画像化が可能だ。
カラー撮影が可能なのは昼間に限られるが、いっそのことストロボも積んで夜間もカラー撮影が可能すれば良かったのに(爆)。
って、静止軌道上から地球を照らせるストロボってどんだけ強力なのよ(笑)、もし出来たとしても10分おきにそんな光で地表を照らしたら眩しくて眠れないって(爆)。

そんな「ひまわり8号」は10/7に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定で、運用開始は2015年になる見込み。

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