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今度は「反水素」?

しばらく前に「水素水」が健康に良いということでかなり取り上げられたが、今度は「反水素」らしい、、、
なんでも、身体に取り込むと有害な成分と”対消滅”をおこして有害成分を取り除いてくれるらしい。

んな訳あるか!!(笑)
”対消滅”という言葉を使っているところから、ここで言う「反水素」というのは文字通りの意味で”反陽子”と”陽電子”からなるもので、所謂”反物質”のこと。
”反物質”は通常の物質(陽子と中性子からなる原子核と電子で構成された原子で出来ている物質)と出会うと”対消滅”を起こしてその質量の100%をエネルギーに変換する。
そのエネルギーは有名な式
e=mc^2
で表され、例えば1gの物質(or反物質)が消滅した場合はおよそ20キロトンのTNT火薬の爆発と同程度のエネルギーが放出される。
これは長崎に投下されおよそ7万4千人の命を奪った原子爆弾(Fat Man)の威力とほぼ同じ。
こんなものを”健康に良い”なんて言えるわけがない(笑)。
そもそも通常の物質と出会うと即座に対消滅してしまうものをどうやって保存しておくのだろうね?
保存出来ている時点で偽物ということの証明になるんだけど(笑)。

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反物質の”詳細な”観測に初めて成功

欧州原子核研究機構(CERN)の研究チームが反陽子と陽電子からなる”反水素原子”から出る”光”(スペクトル)を高精度で観測することに成功したと発表した。
観測された光を通常の水素原子から出る光と比較したところ、有意な差は見いだせず、これは素粒子物理学の標準理論に則った結果だとのこと。
今後は現在の測定精度(数十億分の一)をさらに数桁上の数百兆分の一まで上げ、さらに詳細な測定を行うのが目標だとのことだ。

反水素原子から出る光というのは、原子にレーザー光(=エネルギー)を当てて励起状態にし、陽電子の軌道を基底状態における1s軌道から2s軌道に遷移させ、その際に発生する光のこと。
と報道されているが、この場合は光を吸収することもあるので、今回の発表ではどちらだったのかは読み取れなかった。
まぁ、吸収されたとしても当てたレーザー光のどの波長の部分が吸収されたかを測定しただろうから、結果的にほぼ同じことになる。

同じ条件で通常物質の水素原子でも測定を行っていて、双方の観測結果を比較した結果スペクトルは同じだったという。

SFで時折扱われる”反物質”レベルの話では無いけど、宇宙開闢時には物質と反物質がほぼ同量存在したとの理論もあり、なぜ物質のほうが多く残っているのか?という問題の解決にもつながりそうな観測結果だなぁ。
今後の研究の進展は興味深い。

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